7月度例会報告

ベンチャーコミュニティー第213回例会 講演概要

■日 時:2017年7月25日(木) 18:30~19:30
■場 所:大阪イノベーションハブ(グランフロント大阪ナレッジキャピタル7階)
■講 師:陳 果祁氏(ちん かち)株式会社ビューティワークス・ジャパン CEO
■テーマ:「日中における起業の違い」~中国ビジネスにチャレンジしませんか?~
■プロフィール:1972年中国上海市生まれ
1991年大学進学と同時に日本へ来日。慶応義塾大学経済学部卒業後、東京で株式会社電通国際情報サービスに就職。上海駐在を経て、2006年に広告代理店「beauty works」を上海で設立。日経クライアントを中心に広告代理やイベント運営などを展開。「日本製品と中国消費者」をテーマに11年の実績を重ね、中国人の購買行動インサイトには深く精通している経営者の一人。
2015年には日本法人を立ち上げ、インバウンド事業への本格的な取り組み開始。
2016年に中国人観光客向けECアプリ『J-GO』事業を立ち上げる。
■講演内容
1.現在、大きく2つの事業にとり組んでいる。1つは広告事業で日本製品、サービスを中国に伝えている。もう一つはIT事業を立ち上げた。資金を集めての起業。
2.基礎情報として日中の違いを申し上げる
中国では年収400万円以上を富裕層と呼ぶ。日本は殆ど400万円以上。中国の400万円は物価調整して日本の800万円くらいの感覚
3.中国の経済成長は6%と減速しているが、中身は公共投資より健全な小売売上等が増加している。アリババの流通総額は60兆円で前年比59%増とまだまだ凄い。円高にも拘わらず訪日中国人は140%アップ。賃上げ上昇率は7.1%~8.5%程度。また減速していると言っても伸長する額は膨大(東京都と同じ規模)。
4.起業について。殆ど成功しない、10年間存続しているのは6.3%しかない。マインドが大切である。アントレプレナーに必要なものは(1)性格―勇気、楽観的、穏やかさ、好奇心 (2)勉強意欲―好奇心に基づく勉強意欲 (3)努力―楽しみながらの努力

5.日中の起業外的環境の違い

中国                                                     日本
不安定                   政治              安定
成長(13億人の市場)       経済                   成熟(1.2億人の市場)
高い早い(スマホ90%保有)      技術                   遅い(スマホ50%保有)

革新的なサービスが生まれやすく定着しやすい市場

6.日中のビジネス環境と感覚の違い
中国                                                                日本
ユーザーをリード                     対ユーザー姿勢         ユーザーに合わせ改善で対処
放任的                             政府の姿勢          心配性的
即施行するが継続性は?      立法化               何年もかかり現実に追いつかず
まず始め進めながら修正    新規事業の始め方   課題があるうちは始めない

7.訪日中国人インバウンド事業について。
(1)ピークアウトしたのか?→現状、タイへの訪問が1位、日本は2位、去年は韓国が2位で3位だった。人口13億人中訪日625万人はわずか0.4%
(2)訪日中国人は観光客ではなく買い物客、その分宿泊、食べ物は節約している。
(3)何故、日本で買うのか?→日本の方が安い、中国は偽物が多い、日本の方が品質が良い。
(4)買い物額の伸びが落ちている→代購が減少、高額商品(炊飯器等)は行き渡って減少、団体ツアー客が減少(個人旅行者が増加)
(5)インバウンドは来日前に勝負が決まる→73.4%は訪日前に商品を決定。訪日前に商品認知度アップが大切。
(6)2016.4.8越境EC税制変更が発表され、越境EC環境に変化がみられた。

8.J-GO事業のビジネスモデルについて
~訪日中国人の抱える買い物の不満に答えるのが目的の代購業。特長として
(1)商品は越境しない、購入者が越境
(2)日本法準拠の手数料ビジネス
(3)商品説明は中国語、価格は日本円
(4)スマホ対応のみ
(5)取扱いは特定品目のみ→コスメ、日用品、土産品等がある。訪日前に情報入手し、決済を済ませてもらうことにしている。今後は「モノ」プラス「コト」を提供。→どこを選べばよいのか、どうやって予約するのか等を解決してあげる。
以上。
(文責:金子雅彦)