4月度例会報告

ベンチャーコミュニティー「4月度例会」講演概要
◆開催日:2017年4月20日(木)18:30~20:30(開場:18:00)
◆場 所:大阪イノベーションハブ グラントフロント大阪ナレッジキャピタル
◆講 師:野瀬 和宏 氏(のせ かずひろ)株式会社サンスターライン代表取締役社長
◆テーマ:「グローバルな視点で、貨物と旅客を運ぶニッチビジネス」
◆プロフィール:京都大学・大学院工学部研究科(交通土木工学)修了。大阪市港湾局に入局後、1990年に計画課、2000年からは、振興課で臨海部の開発やポートセールスなどに関与する。2009年からは企業誘致担当として工場や研究所等の施設を大阪に進出させる役割を担った。2015年2月、株式会社サンスターラインに入社。現職では、大阪市時代の多様な経験を生かし、日韓フェリー(大阪南港⇔釜山)の集客拡大や、日韓中を中心とした国際貨物輸送の分野で、国際間での「ヒト・モノ」の流通を発展させるべく尽力している。
-講演内容-
同社では、下記スケジュールで釜山との定期フェリー便運航により、貨物事業(船舶代理・貨物代理)、物流事業(乙仲・通関)、旅行事業(旅客営業・旅行)を行っている。
コース 出発曜日 出発時間 到着時間
大阪⇒釜山 月・水 大阪南港 15:30発 翌日10:00
大阪⇒釜山 金 大阪南港 17:00発 翌日12:30
釜山⇒大阪 日・火・木 釜山港  15:00発 翌日10:00
【旅行客】ホテルにチェックインするように夕刻にフェリーにチェックインし、ゆったり船で過ごして翌日には釜山に到着というスタイル。韓流ドラマやスター隆盛の2012年以降日本からの旅客は下降気味だが韓国からのインバウンド旅客がそれをカバーして更に上回る人気で上昇しているために、旅客量はトータルで順調に増加している。
【物流】物流の手段としては航空便が競合するが、スピード的には通関手続きなどの関係で釜山近辺への到着はほぼ変わらず、むしろ早いタイミングもある。CO2排出量観点では1トンの貨物を1Km運ぶ際に、空輸では1483g発生するのに対してフェリーでは40gと40倍近い差があるためエコ意識の高い企業からのフェリー物流支持などもある。
【課題】為替円相場や政治の影響を大きく受ける事業である。
意外に韓国人の日本への親和性は高く、訪日人気の高さを実感している。両国間のもっと良好な関係構築は重要課題であり寄与したい。中国を含む観光の連携も重要で2015年には日本、中国、韓国の観光を管轄する大臣の会議も実施されている。
【成長に向けて】日本からの外訪客を伸ばすためにHISに学生旅行プランを委託したり、グルーポンを活用したり、天神祭でのうちわ配布などにも取り組んでいる。
物流にも当然力を入れつつ、カジノ法整備に伴って「カジノ×クルーズ」の可能性を活かしたビジネスチャンスも視野に今後の成長を描いている。
大阪南港発、フェリーでのクルーズ旅行と物流。身近なところで手軽に活用できるインフラを最大価値提供するため、多様なマーケティング視点で分析して新しい企画を考え続ける野瀬氏の今後の動きにも大きな期待や興味が膨らむ講演内容だった。
 以上(文責 渡辺)